ベテラン

職場の大ベテランが通勤用のスクーターを替えたいというので、良ければ私に売ってくれませんかと声をかけた。ホンダ・スペイシー125。 次の休みになったら家に来なよ、見せるから。 日曜日の昼過ぎに彼の家へ行った。スクーターよりも先にご飯を食べようとい…

中央防波堤

埼玉、千葉、神奈川、果ては山梨から東京まで勤めに通う人々の傲慢さを18歳のときから何度も見てきた。所詮は田舎の住まいなのに都区内で働くくらいで地元の友達をなぜか見下す節があったのは不思議だった。練馬区でも大泉、板橋区なら高島平、北区なら浮間…

ガソリン添加剤

和光ケミカル、リキモリ、クレ、ゾイル、その他有名メーカーからホームセンターのPBとして売られている謎の添加剤まで、兎にも角にもエンジン内部の洗浄やパワーアップ(これって馬力のことですか?)を謳ったガソリン添加剤は数多あるわけだけれども、どのレ…

クラウン・コンフォート

勤め人になって1ヶ月も経たず、私の部署の中では重要な仕事を任されるようになってしまった。とにかくコンフォートな言葉遣いや運転、都内の道路の知識、店の位置、定期的に訪れる場所、その他、その他……。 前任者があまり良くない形で辞めていったらしく、…

雨の響きで眠れぬ夜は

前にレンタカー屋でバイトしていたことを書いたと思いましたが、ああやって心が荒んだのは区内の営業所にとばされてからの話で、その前は郊外のまあまあ暇な支店で夜勤をしていました。金土日はやはり忙しいけれど他支店へ車を回送する業務が多く、接客で一…

幼なじみの夢

私には小さい頃から定期的に見る夢がありました。ビルから私自信が落ちてゆく夢です。3歳の頃からずっと、一人暮らしを始めてから少し経つまで見てきたのでした。 全部の落ちゆく夢は、灰色のガラス張りのビル、点線のひいてある道路、それだけが出てきまし…

デカビタ缶

大湊、田名部、私の一番古い旅行の記憶に登場してくる舞台だ。まだ2つか3つのとき、生まれたばかりの妹と一緒に家族そろって青森の祖母の家へ挨拶に行った。というのは建前で、本当は父と母が久しぶりにねぶた祭を見に行きたくて私たちを新幹線に乗せたのだ…

大弛峠の雲

雨が降らなさそうだったから、今日は午前中から秩父へツーリングに向かった。ゆるい峠道を走りたくて東秩父から定峰峠、そのまま昼食をとりに小鹿野まで下って行った。午後を持て余してしまうのが嫌で、とにかく近場で標高の高いところを探してみたら大弛峠…

たかだかバイトの分際で

大学を辞めるつもりで休学して、食い扶持を稼ぐためにレンタカー屋でアルバイトを始めたのは冬だった。最初は夜勤で入っていたけども、肉体的疲労が増していくばかりで無理を言って夕方から深夜にかけての時間にずらしてもらった。 レンタカー屋の書き入れ時…

1週間で2回交通事故を起こした

カタカナの「ト」の短い線から長い線へ出ようとしたら中央分離帯の縁石部分にフロントタイヤから突っ込んでいき、YZF-R3は縁石に叩きつけられ体は道路の上に飛んでいった。結果としてフロントフォークが歪み、アッパーカウルは剥がれ、メーターを留めておく…

大学生のソロツーリング入門

私がオートバイを買ったのには「乗り物を自分で運転する旅を経験しておきたい」という理由があった。電車やバスに乗っているとメシを食う、眠る、考え事をするの繰り返しになってこれはこれで面白いのだけれども運転していればメシは食えず、眠れず、考え事…

НАРИТА

ロシア機は古いという固定観念もまた古かった。成田空港に駐機しているのは隣にいる全日空機と同じくエアバスだった。チェックインは厳格だろうと思い、ありもしない英語を強引に引き出して不測の事態に備えたのだが、カウンターに並ぶのは客も従業員も日本…

ТОКИО

シベリア鉄道に乗ってみないか、と言われた。春のことであった。シベリア鉄道、そうだ、私が小学校の百科事典で「世界で一番長い鉄道。端から端まで九二八八キロメートルで、一番早い列車でも七日間かかります」と記述されているのを眺めたことがある。当時…

おばあちゃんからの宅配便

祖父が死んでからというものの、月に1回祖母から荷物が来るようになった。大方レトルト食品やインスタント食品が中に入っている。毎度毎度インスタントみそ汁がついてくる。けれど、僕は食卓にみそ汁を付けるのを面倒臭がって戸棚の中に山ほどそれを積んでい…

慣らし運転

1000キロまではおとなしめに走ってください、と納車の時に言われた。最初はフルスロットルで走るようなことはしないでくださいね。 先輩に連れ回されて5000回転を超えそうなことがあった。周りが80キロで流している道だった。これが排気量の違いからなのか50…

普通二輪は小型二輪に限る

初めての納車を控えているというのに、なかなか気分が高揚しない。Twitterだとかライダーのブログを読んでいると初恋と同じような気分云々と書かれているのだけれど、自分は不安のほうが興奮を上回っている。教習所で失敗を重ねていたからだろうか。エンジン…

ロシアへ持っていったもの

ロシアへ行く際、バックパックへ詰めていったものを旅先の具体的な出来事や利点欠点と絡めながら書いていこうと思います。 バックパック これがなければ始まりません。今回はマックパックの「ゲッコ」を使いました。キャリーバッグでも良いかもしれませんが…

ロシアでの17日間への準備

8月27日から9月13日までの間、ロシアへ旅行に出ていました。 東京→ウラジオストク→モスクワ→サンクトペテルブルク→東京 という経路でした。 ウラジオストクからモスクワまではシベリア鉄道で移動しています。 ここではそのために準備したことを綴っていこう…

ロシア査証

ロシア連邦大使館は、不動産登記簿上の所有者は「ソヴィエト社会主義共和国聯邦」になっているのだそうである。旅行を計画し、それを実行するためにO君とともに日比谷線の神谷町駅を抜け出した。実行第一歩目は予報外れの雨に見舞われたのであった。雨に濡れ…

道東記 大要

「北海道」というと、広大な大地、牧場、豊富な乳製品や菓子類が頭に浮かぶ。そして道産子たちは苦笑いしながら「東京に見せる顔」だと言う。『北の国から』で我々にこびり付いたイメージを彼らに話すときも同じような反応だ。実際、人が住んでいる場所は「…

道東記 前記と計画

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」と書いたのは芭蕉翁であった。我々が計画を立てるという行為をする時、現在の時間軸を離れ、来るであろう過客をこちらから迎えにゆく。未来は机上にありさえすれば、全てが私の思い通りになるのである。 2014…

『ベイマックス』

成人式のあとのパーティに出るための衣装を買うためにイオンへ行ったついでに、「政治的正しさ」(個人的に悪魔の証明だと思っている)云々で騒がれていた『ベイマックス』を観ることにした。 娯楽が一箇所に固まっているのはショッピングモールの利点だ。 …

祖母宅

年明けに風邪をこじらせたため、私は祖母に新年の挨拶をすることができなかった。 なぜか両親や妹も挨拶に行かなかった。 我が家の評判がガタ落ちする前に祖母を訪ねた。 アポはもちろんとっていない(親戚は全員こんな感じで互いの家を訪ねる)。 祖父に線…

ウィンブレ

新しいウィンドブレーカーを買った。 今使っているものは中学校で野球部へ入ったのと同時に買ったものだ。 破れた場所を縫いに縫い、だましだまし着てきたがとうとう風を通すようになってしまった。 もはや意味がないから、福袋でも売れなかったおこぼれを安…

『八甲田山』

この映画を初めて見たのは休学前のことだった。 170分と長い映画だから、講義の合間を縫って見ていた。 本を読むときもそうなのだけれども、間に長い時間を挟んで見るのと一気に見てしまうのとでは、受ける印象が随分と違う。 見る場所も同じように、落ち着…

夜間人口

年末年始は、昼間に我が市の夜間人口がどのくらいなのか、埼玉都民がどれくらいいるのか目に見えてわかる。 昼になってからスーパーマーケットへ行くと、平日はお年寄りしかいないはずなのに親子連れがお年寄りも多くいる。 銀行へ行っても、郵便局へ行って…

宗教活動

やろうとすると信仰心失うから活動しないほうがいいと思う

埴生の宿

25日に2件の不動産屋を訪ねた。 前もってインターネットで調べたつもりが、最初に訪ねたところで、ああいうところに掲載されるのは何かしら問題を抱えてる物件ですよ、と言われ色々な物件を提示された。 マスクをかけ、顔を真っ赤にして、如何にも風邪をひい…

弱小ベッドタウンのタクシー事情

工業団地は言われた、「自家用車あれ。」 こうして、自家用車があった。 駅を中心として造成された住宅街には埼玉都民が住み、田畑を遠く乗り越えた国道や県道沿いにある家々には、全国津々浦々から集った、古くからの住民には少し距離を置いて見られる工業…

青春供養

大掃除を始める前に、本棚やベッドの下に隠れていた青春の欠片を追い出してしまうことにした。 私のベッドの下にはエロ本の代わりに高校の教科書が山と積まれていた。 ブックオフに持っていったら買取を拒まれてトイレットペーパーになってしまうだろうし、…