湯加減

典型的昭和のお父さんたちは一番風呂に入っていたようだが、我が家の父はなぜか一番最後、就寝直前に入りたがる。

一日に染みた煙草の臭いを落とすのだそうだが、いくら体を洗っても服に臭いが移っているから周りからしてみればまったく意味がない。

湯加減にも厳しい。

父はだいたい日付がかわるころに眠る。

私や他の家族が20時くらいに入りきってしまうと、23時半までお湯を温かくしておくために追い焚きをしなくてはならない。

気温によって追い焚きの時間を変えなくてはいけない、この加減が難しいのだ。

ぬるいと小言を言われるから皆必死でボタンをポチポチ押している。

 

湯加減はまだいい、父が早く眠ろうとする日がひどいのだ。

22時半くらいに眠ってしまう時は、全員が22時までに入らないといけない。

しかし、用事をひと段落つくまで済ましてしまうと22時をオーバーしてしまう時がある。

足を忍ばせて1階へ降りると、父はやはり小言を言ってくる。

機嫌の悪いときは夜にも関わらず大声で「遅ぇんだよ、早く入れよ!」と急かしてくる(近所迷惑だと隣人たちに暗に言われるからやめてほしい)。

こういうときはヒゲも剃らず、風呂にも浸からずシャワーで済ましてしまう。

触らぬ神に祟りなし、である。

 

いや…本当は神になぞらえたくないのだが…