祖母宅
年明けに風邪をこじらせたため、私は祖母に新年の挨拶をすることができなかった。
なぜか両親や妹も挨拶に行かなかった。
我が家の評判がガタ落ちする前に祖母を訪ねた。
アポはもちろんとっていない(親戚は全員こんな感じで互いの家を訪ねる)。
祖父に線香をあげる目的もあったけれども、本当はお年玉が今年ももらえるかどうかが重要だった。
一人暮らしは金がかかるから1銭でも多くあったほうがいいに決まってる!と自分に言い聞かせて列車に乗った。
祖母宅の最寄駅に降り、祖母に電話をかけてから歩き始めた。
祖母は祖父との結婚以来、親戚の突然の訪問になれているためか、淡々と受け答えをしていた。
インターホンを鳴らすと寝間着に半纏を着た祖母が出てきた。
後ろへ流した白髪が横へ広がっていて、時代劇に出てきそうな老婆となっていた。
当然のごとくお茶を出し、菓子を私に食べさせる祖母は、矢継ぎ早に両親のことを訊いてきたり、一周忌の用意はどうするかを聞かせてきた。
寺が墓の管理をあまりしていないという愚痴を聞かされ終わったところで、正月に親戚たちが置いていったお年玉や成人祝いを渡してきた。
あとで確認したら、例年とほとんど変わらなかった。
将来、従兄弟やその子供に払う額が少なく済むと思えば不満も消えるだろう。
マシンガントークを相槌で防いだ後、日が暮れたから早めに帰りなさいと言われ、こちらからは何もアプローチできないまま帰路に着いた。
お年玉は古本に使います。たぶん。