『ベイマックス』
成人式のあとのパーティに出るための衣装を買うためにイオンへ行ったついでに、「政治的正しさ」(個人的に悪魔の証明だと思っている)云々で騒がれていた『ベイマックス』を観ることにした。
娯楽が一箇所に固まっているのはショッピングモールの利点だ。
券を買い、スナックの売店のナチョスに心を奪われかけるが、同じ値段でもっと豪華なナチョスがつくれると考え直してもぎりのバイトのところへ歩いていった。
あまりにも議論されているから、あまり子供向けでないストーリーなのかな、と心配していたが、家族連れも笑いながら観ていて安心した。
思うに、この映画はヒロが自律をもつまでの成長物語であった。ビッグ・ヒーロー・シックスは自分たちのもつ技術を使えば、私的な恨みで人を殺すことができた。実際にヒロは兄を犬死させたキャラハン教授を、ベイマックスを使って殺そうとした。ベイマックスはあくまでもロボットであるから、プログラムに沿って主人の命令に"務める"のである(「あなたの健康を守ります」というセリフはあるが、プログラムを変えてしまえばその言葉は無意味になる)。とはいえ、タダシの遺したビデオやビッグ・ヒーロー・シックスのメンバーがヒロを諌め、反社会的報復が根本的解決に繋がらないことを悟らせた。さらに、ヒロは、出来うる限り道徳に反さない解決策を考えだそうと努めるようになり、キャラハン教授の暴走を止めた。但し、彼は人命を救うかベイマックス(ロボット)と共に帰還するかを選択する場面で、自身の才能で再現できうるベイマックス(彼に収録された兄のビデオまでは難しかろうが)を選択しようとしたのには疑問が残った。キャラハン教授を殺さず、その人の命を重視したように見えたヒロはなぜベイマックスを選択しようとしたのか。
祖母宅
年明けに風邪をこじらせたため、私は祖母に新年の挨拶をすることができなかった。
なぜか両親や妹も挨拶に行かなかった。
我が家の評判がガタ落ちする前に祖母を訪ねた。
アポはもちろんとっていない(親戚は全員こんな感じで互いの家を訪ねる)。
祖父に線香をあげる目的もあったけれども、本当はお年玉が今年ももらえるかどうかが重要だった。
一人暮らしは金がかかるから1銭でも多くあったほうがいいに決まってる!と自分に言い聞かせて列車に乗った。
祖母宅の最寄駅に降り、祖母に電話をかけてから歩き始めた。
祖母は祖父との結婚以来、親戚の突然の訪問になれているためか、淡々と受け答えをしていた。
インターホンを鳴らすと寝間着に半纏を着た祖母が出てきた。
後ろへ流した白髪が横へ広がっていて、時代劇に出てきそうな老婆となっていた。
当然のごとくお茶を出し、菓子を私に食べさせる祖母は、矢継ぎ早に両親のことを訊いてきたり、一周忌の用意はどうするかを聞かせてきた。
寺が墓の管理をあまりしていないという愚痴を聞かされ終わったところで、正月に親戚たちが置いていったお年玉や成人祝いを渡してきた。
あとで確認したら、例年とほとんど変わらなかった。
将来、従兄弟やその子供に払う額が少なく済むと思えば不満も消えるだろう。
マシンガントークを相槌で防いだ後、日が暮れたから早めに帰りなさいと言われ、こちらからは何もアプローチできないまま帰路に着いた。
お年玉は古本に使います。たぶん。
『八甲田山』
この映画を初めて見たのは休学前のことだった。
夜間人口
年末年始は、昼間に我が市の夜間人口がどのくらいなのか、埼玉都民がどれくらいいるのか目に見えてわかる。
昼になってからスーパーマーケットへ行くと、平日はお年寄りしかいないはずなのに親子連れがお年寄りも多くいる。
銀行へ行っても、郵便局へ行っても、ホームセンターへ行っても、やはり皆若い(中年だけれども)。
居酒屋でアルバイトをしていても、年寄った常連の姿はなく、見たこともない人たちが席に座っている。
アルバイト先の店はあまり既製品を使わない主義であるから、注文を受けて始めて材料から作り始めるものがある。
予め仕込んだものを冷凍しておき、解凍してから調理し始めるものでも、芯まで火が通るには時間がかかる。
しかも満席となり注文のタイミングが被るのがこの時期のお約束であり、1人で20の商品をつくらなければならない。
店長も社員も同じような状況だし、手伝ってくれる人はいない(私はこのおかげで料理に関しては不器用を克服できた)。
けれども都民たちは都会の居酒屋になれているのか、時間のかかるメニューと注意書きがあるものでも10分も経つと「まだですか」と訊いてくる(年末はこのあたりで完成まで2分くらい残している)。
無慈悲に急かしてくるお客はあまり気持ちのいいものではない。
都民の常連で「仕事場で固まっててもあまり人脈が広がらないから、早めに帰って近所の居酒屋で呑むんです」と語っていたサラリーマンがいるけれども、都民が彼みたいな人であれば多少の遅れは承知してくれるし、シャッター街になった線路の向こうの商店街もある程度賑わうのではないか。
プライベートと仕事場での信頼関係は、私が思うに前者は腹を割って話せるかどうかが重要であって、後者は双方向の連絡の緊密さだと思っている。
果たして飲みニケーションは連絡の緊密さを向上させるか。
あまりにプライベートの悪い部分をさらけ出してしまうと、仕事上はと割り切っていた緊密さも、悪い部分によって瓦解してしまうのではないか。
マイルドヤンキーが地元志向だというけれども、その裏は都民が会社での不必要なプライバシー交換大会で、地元の友人たちと遊べないという理由がありうる。
ここらへんのことが書いてある本はないかしら。
探してみよう。
宗教活動
やろうとすると信仰心失うから活動しないほうがいいと思う
埴生の宿
25日に2件の不動産屋を訪ねた。
前もってインターネットで調べたつもりが、最初に訪ねたところで、ああいうところに掲載されるのは何かしら問題を抱えてる物件ですよ、と言われ色々な物件を提示された。
マスクをかけ、顔を真っ赤にして、如何にも風邪をひいているようだったが、なぜかハイテンションで問題のある物件を弾いていって、最終的に5つの物件を勧めてきた。
1Kと伝えたのにワンルームが2つ混じっていたけれども、物件について質問すると1つ1つ丁寧に答えてくださった。
年末年始は飛ぶように部屋がなくなってしまうようだ。
実際、店舗には隣にブルーカラー風のおじさん、その隣には高校生とその母親の組がいた。
電話もひっきりなしに鳴っていたことから、Iさんの言うことは嘘ではないだろう。
我が家の共通点である呑気さのおかげでこの担当の方(Iさん)の紹介なさった物件を抑えることができないかもしれない。
年始まで残っていることを願うしかなかろう。
2件目の不動産屋はひどかった。
私以外お客もいないし、1週間前に条件をメールで送って、了解した旨を返信してきたはずなのに、私が着いてから物件を探し始めたのだ。
家賃や間取りがいい物件が見つかったが、あまり信頼がおけない。
ひょっとしたら大家と仲が良くないのかもしれないし、前の住人がトラブルを起こして退去したかどうかという情報ももらえなかった。
試しに「初期費用はいくらくらいですか」と質問してみたら、電卓もキーボード叩かないで「20万前後」と答えられた。
全部資料に書かれていたのだからちゃんとやってくれてもよかった。
この店は使わないことにした。