幼なじみの夢

私には小さい頃から定期的に見る夢がありました。ビルから私自信が落ちてゆく夢です。3歳の頃からずっと、一人暮らしを始めてから少し経つまで見てきたのでした。

全部の落ちゆく夢は、灰色のガラス張りのビル、点線のひいてある道路、それだけが出てきました。自分が屋上から飛び降りる訳でもなく、落ちているところからはじまって道路が迫ってきたと思ったら起き上がるか、そのまま違う夢に入るか、真っ黒に熟睡してしまうか。ビルの夢に入るのも、真っ暗闇からいきなりビルから真っ逆さま、自分の寝室にいる夢から真っ逆さま、大きな父と話していたら真っ逆さま、なんの前触れもなく落ちてゆきました。

夢占いを見てみると、飛び降りたり着地したり、とりあえず1度は地面に足をつけてることが前提で、終始足が着かない私を占うものは1つもないのです。

今のアパートに移り住んで、3ヶ月くらいこの夢を見ることはありませんでした。けれど、ついに落ちてゆく夢ははたして出現したのでした。いつも通り、落下の途中で夢がはじましました。落ちる落ちる、もうすぐ道路だ、というところで、どたっ、と音がしました。ああとうとう落ちたのだ、安堵と不安が混じった気分で目を覚ますと、ベッドから私は落ちていました。マットレスがずれたのを直さずに眠っていたからみたいです。

それから今まで、私が本当に地面に足を着けてから、あの夢はもう見れなくなってしまいました。あの落ちてゆく、体が軽くなる感覚はなくなって、ずっと真っ暗な夢のまま眠っています。